窯の中で火に焼かれる陶器の様子

陶芸窯焚き。火の仕組み、火が走る、火の色

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先日制作した陶器の窯焚きへで、再び静岡県浜松市北区三ヶ日町佐久米にある窯元「灯窯 天の森」へ。

同時に窯に陶器を入れている方々や、先生の陶器つながりの方々などが交代で窯焚きの番を行なうとのことで、自分も日中から翌朝までですが、友人たちとともにお手伝いをさせてもらいました。

事前に大変だということは聞いてもいたし、想像の中でも大変そうだと思ってはいましたが、まさに。

三日三晩続く窯焚き

前方から見た窯

到着後、友人との挨拶もそこそこにさっそく釜の前に。釜の付近に近寄ると、すでにその空間の温度差を実感できるほど。

薪をくべる窯の重厚な扉

自分は二日目からのお手伝いで、窯には先生とそのご友人と思われる方が番をされていました。
そのご友人の方は自分と入れ替えで帰られ、別れ際、励ましのお言葉と握手をしてその場を後にされたのですが、今思えばその握手の意味も分かるような…。

簡単な手ほどきを受け、先生たちと入れ替わりで自分と友人が窯焚きの番にを行なうことに。

重厚な窯の薪を焼べる扉を開いた瞬間、今まで感じたことのない熱量と熱波。薪を入れるためなどで扉を開けていられるのも数秒が限界。

薪を投げ入れられる程度まで近づくと顔の産毛が一瞬でなくなるのではないかと思うほど。
それ以上近づくと眉毛&まつ毛も危うく、顔や肌の出ている箇所は焼けるかのよう。

到着時、半袖とスウェット姿の自分の格好を見た先生と友人が、厚手の前掛けと手の甲まで隠れる長手甲(てこう)のようなもの、軍手とその内側にはめる薄手の手袋を付けるように言われたのですが、その意味がわかりました。
スウェットの裾から出ている足首が熱く、次回またお手伝いすることがあれば、長袖&長いソックスは必須。

吹き出す炎。ずっと低温サウナ状態

薪を焼べて扉を閉めると、隙間から炎が吹き出す。

扉から噴き出る炎

扉を閉めていてもあたりはずっと低温サウナ状態。気を抜くと流れる汗とともに意識も流れてぼーっとする感じ。
一時間も経たずして、早くもその大変さを実感。

火、窯の状態を知る

窯は薪を焼べる扉があるところを前とすると、一番後ろに煙突がありました。その真ん中あたりにあるのが「ツノ」と呼ばれる火柱が昇る穴。

窯の火の様子を知ることができる「ツノ」

薪を入れ焼かれている最中に火柱が昇り、その具合や火柱の引っ込むタイミングなども、窯の中や火の状態を推し量る材料だそう。

一番重要な窯の中の温度

その温度より色の出方や作品の表情も変わるらしく、その窯の先生の趣向や作る作品により変わるそうで、今回は窯の奥が1100ぐらいが目安だそう。
実際の温度は窯の中に設置された温度計(手前の計測器が薪を焼べる扉側の窯手前の温度、奥の計測器が窯の奥の温度)で測ります。

窯の中の温度を測る温度計

温度が上がっていくと、煙突からも火柱が昇り、その勢いも増していくとのこと。

煙突から上がる火柱

その煙突の根元付近に窯の中を見ることができる穴があり、薪を焼べる扉まで垣間見ることも。

窯の反対側から見た窯の中の様子

火の仕組み、火が走る、白くなる火

ほかの友人たちも夕方から集まり、先生やご家族、お子さんたちと一緒に交代で夕飯を兼ねたBBQ。焼き方ヘタですみません…。

夜間はその友人たちや、別の場所に自分の窯を持たれている先生の陶芸家仲間方など、別の年配の方々といっしょに窯の番へ。

窯に薪を焼べる様子

単純に一度一度温度を上げ、それを保つというのはほんとうに難しく、大変な作業。
先述のツノの状態などだけでなく、窯の違いも考慮した空気の流れを想定し火の走り方(火の流れ方?)など、火の仕組みを常に意識もあるそうで、状況によりアレコレ検討されていました。

温度を瞬間的に上げる薪や松脂(まつやに)を含んだもの。サイズも使い分けに関係し、「オキ」と呼ばれ温度を保つためなどに炭的に使われる太めの木など。

別の窯元をやっている陶芸の先生のご友人

正直、温度を上げるにはただ多くの薪を焼べれば温度は上がるだろうと思っていたし、回数もこんな頻繁に、また量も調整しながら薪を焼べる必要があるとは思ってもいませんでした。

「加えるだけでは温度が上がらない。逆に無理に加え続けると下がってしまって手のつけられない状態にも。」

なかでもより残ったフレーズ。

窯焚きの番をしている様子

番をしている最中、火の燃える仕組み、火力、材料を燃やすためのカロリー(エネルギー)、温度による発色、必要な温度、灰が燃えるなどについて教えてもらい、何ごともそのロジックを知ったうえで経験・感覚を活かすということは大切なんだと改めて教えてもらいました。

窯の中では棚に置かれるような状態で陶器が並べられているのですが、窯焚き中、その棚から落ちている陶器があることを見つけ、場所的にも可能だったようで急きょ先生が鉄の棒を使い取り出すことに。

窯元 灯窯 天の森の先生

1000度以上で焼かれ取り出されたばかりの陶器は真っ赤く燃え、透きとおっているかのうような綺麗な色。

窯焚き中に棚から落ち、先行して取り出された瞬間の陶器

窯の中はその炎の熱量、強い明るさでそうそう肉眼で見ることができないのですが、それでも先生たちは薪を焼べる数秒の間で中の様子を見たり感じ取ることができるようで、そのとき知り得た状態の変化からも作業の指示なども行っていました。

窯の中で火に焼かれる陶器の様子

窯焼きの番を行った当初は先生たちのように窯を覗いても、中の様子は炎に遮られ見ることができなかったが、途中からは窯の脇に並べられ焼かれる陶器の姿肉眼でも少し見えるように。

窯の中の火と陶器

温度による火の色の変化も教えてもらい、真っ赤な火がより高温になるにつれ、白い火になっていくそう。
終盤、たしかにわずかに透明感も感じるような白い火になり、色の変化を感じました。

高温になり白くなる窯の火

友人のスマートフォンのカメラで撮ってもらった窯内部の様子ですが、センサーやピントの状態での色味の違いはあるものの、肉眼ではそれ以上に色の変化が分かるほどに。

次回はいよいよ窯出し

窯焚き中、自分にはまったく見えなかったのですが、薪が当たったのか手前に傾いてしまっているかもしれないものがあるかもしれないとのことで、もしそうならたぶん、置いてある場所と形状的に自分が作ったものの一つのよう…(泣)

今回は窯焚き後、二週間ほど経ってから窯出しの予定とのこと。
場合により一週間程度で窯出しを行なうときもあるそうで、そのときはレンガがまだ完全に冷めておらず、30分も窯の中にはいられないらしい。先生もスニーカーの靴底が熱で剥がれてしまったことがあるそう。

せっかくなので、窯出し直前の窯の中の様子も見てみたい。

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