梅雨時の合間の抜けるような空のもと、先日行った窯焚きから二週間が経ち、いよいよ窯出しの日を迎え、みたび静岡県浜松市北区三ヶ日町の佐久米駅近辺にある窯元、「灯窯 天の森」へ。
窯焚き後の窯の中へ
到着するとすでに関係者の方々が作業を行なっており、その方々と交代して自分も友人と一緒に窯の中へ。
窯焚きを行なうには人手ははもちろん、作品の制作から窯の準備など、さまざまなことが必要になり、そうそう簡単に行なうことはできない。
また、窯元と呼ばれる本格的な窯を持っている方もそうそうはいないため、今回お世話になっている先生の陶芸家仲間の方たちも一緒に作品を焼いています。
窯焚きの折にも初めてお会いした方々もいらしたが、今回も初めてお会いする方々もたくさんいらっしゃいました。
狭い入口(窯を焼べる扉)を四つん這いになり窯の中へ入ると、整然と並べらた陶器がずらり。
窯入れはお手伝いできなかったため、並べられた陶器をしっかりと見るのはこれがはじめて。
前回の窯焚きのときにお聞きしたように、窯焚き後一週間程度では熱があまり冷めないそうですが、今回はおよそ二週間。
いざ窯の中に入ってみると熱は感じることはなかったが、風の流れもなく蒸された空間で、一気に汗が流れ出た。
ひとつひとつ、大切に陶器を手作業で取り出すのだが、並べられた棚にくっついて取りづらいものはやさしく板をたたき振動を与え、陶器を剥がし取っていきます。
中に入ると窯の中で立つことはできず、中腰での作業。これもなかなか大変。
交代で窯出し作業を行い数時間。すべての陶器を取り出した窯の中。
奥の方には窯の一番後ろに設置されている煙突部分から覗ける穴から差し込む光。
はじめて窯の中を見たときも空の状態だったが、なぜかそのときとちょっと違った雰囲気にも感じた。
窯の中ほどあたりにある横穴から見た窯の中。
前回の窯焚きのとき、向こう側(外)から薪を焚べていた扉を内部から。
窯焚きのときには、陶器の並べられているところまでもう少し距離があるように感じたが、実際はわりと近く、内側から外を除くとまた違った印象も。
取り出された陶器の数々
さまざまな陶芸家や関係者の方の作品が、窯の中から取り出され並べられていきます。
色合いや作風などなど、作りの手こだわりが表現されています。
和気あいあいと作業が進む中、先生をはじめ他の陶芸家の方々では作品についてあれこれ意見の交換もはじまり、さながら展覧会の様子。
焼き付けられた色合い、釉薬(ゆうやく)の溶け具合での模様や釉掛けでの肌触りの違い。
作り手の想像した形状や細かいこだわりなど。
火の創る表情や色合いに惹かれました。
作品完成
自分の作品はお茶碗×3、お猪口×2、湯呑み×1。
窯出し中、ひとつお茶碗が行方不明になりちょっと心配でしたが無事に発見。
お猪口同士が一部くっついてしまってその箇所を綺麗にペーパー掛け。
よくよく見るとそれもなんとなく味となり、気に入りました。
湯呑みもなかなかの風合いで焼酎ロックとかにも良さそう。お茶碗は想像以上に縮み、ダイエットに良いかも(笑)。
盛られる料理まで想像してお話しされる先生たちの会話をお聞きしていると、次回はお皿もちょっといいかなと。
あとは色付けと肌触りもちょっと試してみたい。
目的と存在
今回、たまたまの流れで急きょ参加させていただき、正直、よくある陶芸体験的なものをイメージしていたので本格陶芸に圧倒。
量販店や百均などでも売られている陶器類。
それはそれで目的があり充分に役割を果たしているが、目的によって使い分けされる本来の”器”の誕生をはじめて体験でき、目的による存在の違いを体験とおして勉強させていただきました。
今回お世話になった窯元の先生も、以前はもっとカジュアルな陶芸教室を別の場所で開催されていたそうですが、現在では一般での陶芸体験は行っておらず、その準備も大変なことから、よほど条件が整わなければ展覧会なども行っていないそう。
窯焚きなど、一般ではなかなか体験できることではないと思いますが、お誘いいただきありがとうございます。
また次回、機会がありましたらよろしくお願いします。
【備考】展示販売会を開催予定
来年(2017年)、展覧会や販売会の開催を検討されているとご相談をいただき、自分の仕事柄、イベント開催の宣伝集客などで少しお話しをさせていただきました。
もし可能であれば窯焚きなど、せっかくの窯を活かした本格陶芸ならではの体験なども絡められたら、イベント的にもおもしろいと思います。また可能な時期にお知らせさせていただきます。
地域の魅力として体験者としても、そういった形でもお手伝いさせていただければと思います。